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中古マンション×60㎡の間取りで叶える快適リノベーション

【KITI事例】

約60㎡という限られた空間でも、間取りの工夫次第で住まいは想像以上に快適になります。中古マンションのリノベ-ションを数多く手がけてきたKITIでは、「広さ以上の開放感」「暮らしやすい動線」「デザイン性」を軸に空間を再構築しました。今回は、中古マンションの課題をデザインと設計で解決した、60㎡リノベの4つの事例をご紹介します。

週末のホームパーティーを楽しむための中古マンションリノベ

週末には友人を招き、ホームパーティーを楽しみたい。そんなご夫婦の願いを形にした中古マンションリノベーション事例です。既存のお部屋は約60㎡。ゆとりのあるLDKを実現しつつ、ファッションがお好きなお二人のために、大容量の収納も確保することが求められました。

60㎡の間取りに求められた2つの条件(LDK+大容量収納)

元の間取りは、南側と北側では光の入り方が全く異なります。自然光がたっぷり入る南側にはLDKを優先的に配置したい一方で、寝室や収納を北側にまとめると、どうしても風通しや湿気が気になる状態でした。

KITIが提案した「1室1体」の間取り

そこで提案したのが、寝室・収納・書斎をひとつの空間としてまとめる「1室1体」のプランです。ベッドはLDKに接する位置に置き、仕切りには大きな室内窓を採用。収納はその奥に配置し、さらに最奥には換気用の小窓も作りました。南側からの光が室内窓を通して寝室部分に届き、空気の通り道も確保できるため、湿気による衣類のダメージも防げます。
また、洋服類は「見える収納」にしたことで、LDKからもお気に入りの洋服がちらりと見える作りに。お二人が大切にしているファッションが日常の風景に溶け込んで、暮らしの一部として楽しめる空間になりました。

ホームパーティーを楽しむための回遊動線とキッチン計画

ホームパーティー用にキッチンは対面式とし、回遊性のある動線を確保。来客が使いやすい位置にトイレと手洗いも配置し、人が集まる家としての機能性も整えています。

専有面積:66.42㎡
世田谷通りの家

70代夫婦のための中古マンションリノベ|単身3室をつないだ65㎡の住まい

単身向け賃貸マンションの3部屋(各22㎡)をつなげ、65㎡の住まいへと再構築した中古マンションのリノベーション事例です。この部屋で新たな暮らしを始めるのは、70代のご夫婦。年齢とともに変化してきた身体の負担や、元の家の住環境の変化をきっかけに、都内で暮らす娘夫婦の近くへの移住を希望されました。

ご夫婦それぞれの時間を尊重できる、南北に長いLDK計画

長年一緒に暮らしてきたお二人は、日中それぞれの部屋で別々に過ごすライフスタイルを大切にしていました。そこでKITIでは、L字に配置されていた3室の壁を抜き、南北へとまっすぐ伸びる空間をLDKに再構成。互いの気配を感じながらも、必要なときには自分の時間を大切にできる、距離感のある住まいを実現しています。
また、玄関から寝室へ続く廊下は、将来的に車いすでの移動が必要になる可能性を考慮して、余裕を持った幅で設計しました。

素材のつながりでつくる、落ち着きと上質さのある空間

空間全体の基調はベージュ系で統一し、木材の染色・カラーモルタル・壁紙・リノリウム・ブラインドを丁寧に選定。都会のマンションでは得がたい、落ち着きと素材の温かさが同居する空間に仕上げています。

リビングの入り口建具には自然素材のラタン(籐)を採用。視線を柔らかく遮りながら光を通す素材で、上品なアクセントとして空間を引き締めています。

専有面積:65㎡
ハハ-ハウス

奥行きを活かして光を届ける。「ウナギの寝床」を心地よい住まいへ再設計した中古マンションリノベ

間口が狭く、奥へと細長く続く──いわゆる「ウナギの寝床」形状の中古マンションを、その奥行きを活かしながら光が通り抜ける住まいへと再構築したリノベーション事例です。延床面積は約68㎡。限られた採光条件の中で、どのように光を室内の奥まで届け、伸びやかな空間をつくるかが設計のテーマになりました。

光を遮らない間取り計画。ガラス引き戸でLDKまで自然光を誘導

バルコニーに面するリビングと寝室の境界には、壁ではなく大きなガラス引き戸を採用。寝室を閉じた個室にするのではなく、透明性のある仕切りを設けることで、窓から入る光がまっすぐLDKまで届くようにしています。来客時にはカーテンで仕切ることもでき、プライバシーと開放感を両立した空間になっています。

玄関側の窓からも光を運ぶ。境界線に「役割」を持たせた工夫

玄関側にある2つの窓からも光を取り込むため、室内に光を巡らせる工夫を随所に施しました。

・書斎とダイニングの間仕切りを、壁ではなく抜け感のある本棚に
・ウォークインクローゼットの壁を天井から下げて光を回す
・廊下とSIC(シューズインクローゼット)の間に壁を設けず光の通り道を確保

このように、各スペースの境界線に少しずつ工夫を加えることで、個室性を保ちながらも明るさと広がりを感じられる空間に仕上げています。

在宅ワークに寄り添う「複数の居場所」を持つ間取り

読書や執筆が多いご夫婦が、家の中で気分に合わせて居場所を選べるように、空間内には用途の異なるスポットを複数配置しています。

・書斎
・ダイニングテーブル
・LDKのソファ
・寝室(ガラス引き戸を開放すればTV鑑賞も可能)

造作のアイランド型調理台は、持ち込みのテーブルに奥行きを合わせて製作し、合計3mを超えるワークスペースに。食事はもちろん、仕事や打ち合わせスペースとしても活用できる柔軟な造りになっています。

延床面積:68.58㎡
杉並の家

60㎡×中古マンションで叶える暮らしの可能性

今回ご紹介した3つのリノベーション事例に共通しているのは、「60㎡前後という限られた面積でも、間取りの再編集によって暮らしの質を大きく変えられる」ということ。

光の入り方や動線、収納、居場所のつくり方など、KITIは既存の制約を丁寧に読み取りながら、空間そのものの可能性を引き出す設計を行っています。

・間取りを少し見直すことで、
・家事がしやすくなる
・光が届きやすくなる
・仕事やくつろぎの時間がより心地よくなる

これらの暮らしの変化を、60㎡というサイズでも十分に実現できます。
中古マンションの間取りに悩んでいる方、「この広さでどこまで叶えられるだろう?」と感じている方へ、今回の事例が、住まいづくりのヒントになれば幸いです。

写真:貝出 翔太郎(3枚目以外)