マンションのリノベーションでは、既存の設備や構造をどこまで活かすかによって、工事の規模や計画の進め方が大きく変わります。
押上の家では、浴室やトイレなどの水回り設備を既存のまま活用しながら、間仕切りや空間構成を中心に更新する「部分リノベーション」を行いました。
工期や費用を抑えつつ、動線や収納計画を見直すことで、住まいの使い方を大きく変えることを目指しています。
マンションのリノベーションでは、既存の設備や構造をどこまで活かすかによって、工事の規模や計画の進め方が大きく変わります。
押上の家では、浴室やトイレなどの水回り設備を既存のまま活用しながら、間仕切りや空間構成を中心に更新する「部分リノベーション」を行いました。
工期や費用を抑えつつ、動線や収納計画を見直すことで、住まいの使い方を大きく変えることを目指しています。
既存住戸は、L字状の耐力壁が水回りを抱え込む構成となっており、すでに一度リノベーションが施された住戸でした。
設備の更新状況とコストのバランスを踏まえ、本計画では水回りは既存のまま活用する方針としています。その代わり、周辺の間仕切りや空間の使い方を再構成することで、住まい全体の動線と機能を整えました。
設備をすべて更新するのではなく、必要な部分を見極めて手を加えることもリノベーションのひとつの方法です。
お施主様は仕事柄、日本の主要都市を飛び回る生活を送っています。
東京での暮らしは、一般的な居住場所というよりも、一時的に滞在する拠点のような位置づけでした。
そこで計画では、いわゆる「家らしさ」から少し距離を取り、都市に点在する仕事の延長としての空間を目指しました。
寝室は最小限とし、動線は玄関からバルコニーまで一筆書きのように連続する構成としています。
この住まいの特徴は、「二つのリビング」を持つ構成です。
一般的なLDK型の間取りのように廊下で部屋を分けるのではなく、
玄関側にセカンドリビング、奥にメインリビングを並べるワンルーム的な構成としました。
メインリビングには大きな引き戸収納を設けています。
スプルースの白木とラワンの赤木を格子状に組み合わせ、収納としての機能だけでなく、空間にリズムと奥行きを与える要素として計画しました。
玄関側のセカンドリビングは、天井高さを抑え、空間を横断する大梁を隠すことで、奥とは異なる少し圧縮された空気感をつくっています。
囲われた木の空間は用途を固定せず、
仕事や休憩など、そのときどきの行為を受け止める余白となります。
奥のメインリビングとの対比によって、空間に緩やかな変化が生まれています。
水回りは既存のまま活用しながら、動線や空間構成を大きく更新する。
押上の家では、部分リノベーションという選択によって住まいの使い方を見直しました。
都市を行き来する生活の中で、滞在し、働き、休むための拠点となる空間となる押上の家は、都市の暮らし方に寄り添う、新しい住まいのかたちを示しています。
写真:貝出 翔太郎(1,3,4,5,6枚目)