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【KITI事例】廊下・玄関特集

視線と光で整える廊下・玄関のリノベーション

マンションリノベーションでは、廊下や玄関のつくり方が住まい全体の印象を大きく左右します。

廊下はできるだけ短くしたい場所でありながら、部屋と部屋をつなぎ、視線や光の流れをつくる場所でもあります。玄関もまた、限られた面積の中で靴を脱ぐ、収納する、外と内を切り替えるといった複数の役割を担います。

ただ通るだけの場所として扱うのではなく、狭さや暗さをどうやわらげるか、今回は、KITIの事例を交えながら、廊下と玄関の設計の工夫をご紹介します。

視線を奥へ導く廊下

細長い廊下では、視線の抜けをどのようにつくるかが大切です。

廊下の先に窓や開口がある場合、その方向へ自然と視線が向かうように壁の色や仕上げを整えることで、空間に奥行きが生まれます。

芦花公園の家では、ラワン仕上げの壁と白い壁を組み合わせ、視線が奥へ抜けていくように計画しました。暗さを強調するためのラワン仕上げではなく、視線を絞り、奥にある光を引き立てるための色として使っています。

廊下は狭い場所だからこそ、どこへ視線を向けるかによって印象が大きく変わります。

天井高さを整える

マンションでは、梁やダクトの関係で天井に段差が生まれることがあります。
そのまま見せると、空間が細かく分断され、廊下がより狭く感じられることもあります。
そこで、既存の梁やダクトの存在感を抑えながら、天井高さを揃えることで、すっきりとした印象をつくる方法があります。視界を邪魔する要素を減らすことで、廊下の先へと意識が自然に抜けていきます。
一方で、天井が低くなる部分をあえて活かす考え方もあります。
ぐっと絞られた場所をつくることで、その先にある明るさや広がりがより印象的に感じられます。

床材で流れをつくる

廊下の印象は、床材の貼り方によっても変わります。

たとえば、ヘリンボーンのように方向性のある貼り方を採用すると、床の模様が視線を導き、空間に流れが生まれます。
細長い廊下では、床の表情が通路としての単調さをやわらげ、歩く場所そのものにリズムを与えてくれます。

収納を隠さず空間の一部に

玄関まわりでは、収納をどう見せるかも重要です。
すべてを隠すのではなく、素材や仕上げを整えることで、収納そのものを空間の一部として見せる方法があります。
玄関モルタル左官の質感や造作収納を組み合わせることで、玄関は単なる収納場所ではなく、住まいの印象をつくる場所になります。
外で使うものをしまう場所でありながら、住まいに入った最初の印象を整える場所でもある玄関収納には、機能と見え方の両方が求められます。

建具で光を取り込む

玄関や廊下は、住まいの中でも暗くなりやすい場所です。
そこで、居室との間に設ける建具にガラスを取り入れることで、室内側から廊下へ光を届けることができます。
完全に開いてつなげるのではなく、建具によって空調効率やプライバシーを保ちながら、光だけをやわらかく受け取る考え方です。
閉じながらも、暗くしない。
建具の選び方によって、廊下や玄関の印象は大きく変わります。

玄関をセカンドリビングとして使う

廊下や玄関をできるだけなくし、居住空間の一部として考える方法もあります。

押上の家では、玄関側にセカンドリビングのような空間を設けました。
玄関を通過するだけの場所ではなく、仕事や休憩など、そのときどきの過ごし方を受け止める小さな居場所として計画しています。

廊下を減らすことで、限られた面積の中に役割のある空間を増やし、玄関を住まいの一部として扱うことで、使い方に広がりが生まれます。

自転車を室内に置くという選択

暮らし方によっては、玄関まわりに自転車を置く場所を設けることもあります。

杉並の家では、住まいの中に自転車を置ける場所を計画しました。
外部との行き来が多い暮らしでは、玄関まわりに余白を持たせることで、日々の動きがスムーズになります。

玄関は、外と内をつなぐ場所です。
その家の暮らし方に合わせて、どのようなものを受け止める場所にするかを考えることで、使い方の幅が広がります。

廊下と玄関は、住まいの印象を整える場所

廊下や玄関は、面積としては大きくない場所かもしれません。
けれど、視線の抜け、天井高さ、床材、建具、収納の見せ方によって、住まい全体の印象は大きく変わります。
狭さを感じさせないことや暗くならないこと、通るだけで終わらせないことなど……KITIでは、廊下や玄関を単なる移動のための場所としてではなく、住まい全体を整える大切な要素として考えています。

写真:貝出翔太郎