KITI Design Office KITI Design Office

blog

【KITI事例】空間のアクセントの作り方

~形・色・素材でつくる印象的な住まい~

住まいの印象を考えるときは、床や壁、天井といった仕上げに加えて、空間の中に生まれる小さな変化にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
空間の中に少しだけ特殊な形を入れたり、一部に色を加えたり、さらには素材の質感を変えたり、床の高さを少し上げたりなど、小さな変化が、住まいの中にアクセントを生み、空間全体の印象を豊かにしてくれます。
アクセントは、目立たせることだけを目的とするものではなく、空間の印象を整えるための要素でもあります。また、視線を導いたり、居場所をつくったり、その家らしさを静かに表したりするための設計の工夫でもあります。
今回は、KITIが手がけた住まいを通して、空間のアクセントの作り方をご紹介します。

曲線でつくるアクセント

アクセントは、色や素材だけでなく、形によって生まれることもあります。

碑文谷の家では、やわらかな曲線を描くR壁を採用しました。
直線で構成されていることの多いマンションの一室に曲面を取り入れることで、空間に立体的な表情が生まれています。

R壁は、視線をやわらかく受け止めながら、空間を強く区切りすぎない存在です。
壁でありながら、境界を曖昧にし、住まいの中に穏やかな流れをつくっています。

色でつくる異なる空気感

色を加えることで、空間の中に異なる印象をつくることもできます。

押上の家では、ロッカーの背面を深い緑で仕上げました。リビング空間とは少し異なる色を用いることで、玄関まわりに独立した表情が生まれています。

塗装は、色を自由に選びやすく、空間の雰囲気を細かく調整できる仕上げが特徴です。全面ではなく、背面や一部の壁にだけピンポイントで色を取り入れることで、空間に静かな変化を加えることができます。

色は、空間を強く主張させるためだけでなく、場所ごとの性格を際立たせるためにも使えます。

色・素材・高さを組み合わせる

アクセントは、色、素材、高さを組み合わせることで、より印象的な居場所を生み出すこともあります。

楓灯の家では、赤いリノリウムのタイルを空間のアクセントとして採用しました。色の印象だけでなく、リノリウムタイルならではの素材感が加わることで、空間に独自の表情が生まれています。

リビングの一部は床の高さを変えることで、玄関の赤いリノリウムタイルからの連続性をつくりつつ、そこにグレーの畳の小上がりをつくりました。
段差によって空間を完全に仕切るのではなく、座る、くつろぐ、家族と過ごすといった行為をゆるやかに受け止める場所になっています。

色と素材、そして高さの変化を組み合わせることで、アクセントは単なる装飾ではなく、過ごし方をつくる要素になります。

素材感でつくるアクセント:漆喰

素材そのものの質感を活かすことも、空間にアクセントをつくる方法のひとつです。

墨田の家では、壁の仕上げに漆喰を採用しました。
均一な白い壁とは異なり、わずかな陰影や手仕事の跡が残ることで、光の当たり方によって表情が変化します。

素材感でつくるアクセント:ラワン

ハハ-ハウスでは、ラワンの壁を空間のアクセントとして取り入れています。
木ならではの色味や木目が加わることで、白を基調とした空間の中にあたたかさと奥行きが生まれます。

素材の質感は、強く主張しなくても空間に印象を残してくれます。近くで見たときの肌理や、光を受けたときのやわらかな表情が、住まいに静かな豊かさをもたらします。

色を加えるだけでなく、素材の違いからアクセントを生み出すという視点もあります。

建具の色でつくるアクセント

空間の中で大きな面積を持つ建具は、色の選び方によって印象的なアクセントになります。

北綾瀬の家では、オレンジ色の建具を採用しました。
壁や床と異なる色を取り入れることで、空間に明るい表情が生まれ、視線を引き込むポイントになっています。

建具は、部屋を仕切るためのものとしてだけでなく、空間の印象をつくる要素として考えることもできます。色をまとった建具が入ることで、住まいの中にリズムが生まれ、その家らしい個性につながります。

アクセントは空間の性格をつくるもの

空間のアクセントは、ただ目を引くためのものではなく、曲面壁が視線をやわらげたり、色で場所の印象を変えたりします。また、高さが居場所をつくったり、素材感が空間に奥行きを与えたりすることもあります。
そうした工夫の積み重ねによって、住まいの中に印象に残る場所が生まれます。
KITIでは、形・色・素材・高さのバランスを見ながら、その住まいにふさわしいアクセントの作り方を考えています。
写真:貝出 翔太郎