マンションのリノベーションには、既存を活かしながら整える方法と、空間を一度骨組みまで解体して再構成する方法があります。
芦花公園の家では、床や天井を一度すべて解体する「フルスケルトン」のリノベーションを行いました。既存の構造を丁寧に読み解きながら、住まいの骨格から空間を整え直しています。
マンションのリノベーションには、既存を活かしながら整える方法と、空間を一度骨組みまで解体して再構成する方法があります。
芦花公園の家では、床や天井を一度すべて解体する「フルスケルトン」のリノベーションを行いました。既存の構造を丁寧に読み解きながら、住まいの骨格から空間を整え直しています。
芦花公園の家では、床や天井を含めて一度すべて解体し、配管ルートや床レベルを改めて整えるところから計画を始めました。
マンションリノベーションでは、既存の床や配管を活かすことでコストを抑える方法もあります。しかしその場合、排水勾配の制約や床の凹凸などが残り、設備の配置が限定されてしまうこともあります。
そこでフルスケルトンにすることで、配管のルートや勾配を適切に確保でき、キッチンや水回りの配置の自由度が高まります。コストはやや上がりますが、床段差や排水の問題を根本から整えられる点が大きなメリットです。
既存の条件に縛られるのではなく、住まいの骨格から計画を組み直すのが今回のリノベーションの出発点でした。
この住戸は、大きなマンション群に囲まれながらも、交通量の多い道路から奥まった場所に位置しています。
敷地境界には広葉樹が茂り、南面の大きな窓からは落ち着いた緑の景観が広がります。
お施主様がこの住まいに惹かれたのも、その静かな環境と窓の開放感でした。
そこで計画では、南側の開口を活かすようにLDKを配置し、住まいの中心となる空間を整えています。
既存住戸は、スラブ段差がなく、柱と梁が一定のリズムで並ぶシンプルな構造を持っていました。
お施主様からの要望は、広いLDKと最小限の寝室、ウォークインクローゼット、そして親戚が泊まれる程度のゲストスペースを設けること。生活の中心はリビングであり、寝室は必要最低限でよいという明確な考え方がありました。
そこで、私たちは南側にリビングダイニングを配置し、梁から共用廊下側に寝室とキッチンを配置。既存住宅にあった床段差を吸収するため梁の高さがやや下がる部分もありますが、それを間仕切りとなる位置に計画することで圧迫感を抑えています。
サニタリーやウォークインクローゼット周りはラワン仕上げとし、白い空間の中に木のボックスが差し込まれるような構成としました。
建具は換気性を考慮し、トイレ以外は引き戸を採用。白い壁には白い建具、ラワン壁にはラワン建具を合わせることで、空間全体に統一感を持たせています。
また、廊下・土間・寝室をウォークインクローゼットでつなぐことで、回遊性のある動線と家事のしやすさを両立しました。
LDKと寝室の間にはガラスの間仕切りを設けています。
音や匂いは遮りながらも、視線の抜けを確保することで空間の広がりを感じられる計画です。
さらに、ガラス間仕切りの一部は開放できる構造とし、廊下との建具も上吊りのガラス引き戸とすることで、住まいの中に光と風の通り道をつくりました。
既存の構造体を丁寧に読み解きながら空間を構成することで、周辺の緑と室内の開放性が静かに響き合う住まいとなりました。
床や天井を一度解体し、住まいの骨格から整える判断によって、光や風の流れ、動線、空間の広がりまでを改めて計画することができます。
芦花公園の家は、構造を活かしながら空間を再構成することで生まれた、静かで伸びやかな住まいです。
写真:貝出 翔太郎(1,3,4,5,6,7枚目)