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墨田すみだの家

主用途:住宅
内容:リノベーション
分類:設計・施工
施工:澤田大悟+清水満+石川光希
設計:伊藤茉莉子+安齋幸太郎
構造:鉄筋コンクリート造
専有面積:76.96㎡
設計期間:2024年9月~2025年2月
施工期間:2025年2月~2025年5月
写真:貝出翔太郎

猫と窓辺、素材の豊かさ

バルコニーからの眺めに魅せられ、この住まいを選んだ猫と二人の施主のためのリノベーション。
求められたのは、バルコニーへの抜けのある視線、漆喰の壁と木の素材感、そして猫が自由に動き回れる空間だった。

既存のラーメン構造を包み込むように、バルコニーへ向けて勾配天井を設けた。窓際には間接照明を仕込み、日中は光が抜け、夜は柔らかな明かりが室内を包むようにした。開口部には奥行きをもたせ、縁側のように腰掛けられる窓枠とした。外光が差し込むカーテンと窓の隙間は、猫にとって心地よい日向ぼっこの場となる。窓の下台と枠にはナラの集成材を用い、座面と同じ素材で外の風景を切り取った。枠の厚みを見せない納まりとすることで、室内からのノイズを抑え、眺望をすっきりと整えた。

生活リズムの異なる二人のために、音の出る作業空間、キッチンと仕事部屋として使う簡易防音室を寝室と対角の位置に配置した。また簡易防音室と隣戸との間はパントリーにすることで音の振動が隣戸へ直接届きにくいように配慮した。

西側の開口部は遮光カーテンで塞ぎ、WICとして活用しながら、寝室と玄関をつなぐ回遊動線を設けた。

空間づくりの中心には、「猫も人も等しくのびのびと暮らせる住まい」というテーマがある。玄関と水まわり以外のすべてを猫が自由に行き来できるように計画し、壁や天井に猫トンネルやキャットウォークを設けた。簡易防音室には音漏れを防ぐ真鍮製のトンネル蓋を設け、機能性と素材感を両立させている。真鍮の鏡面がオークの床を映し込み、空間に静かな奥行きをもたらした。 窓辺の光や木の手触り、猫の動きが日々の風景をかたちづくる。
そうした小さな気配が、素材と光の穏やかな調和のなかで重なり、静けさと豊かさをともに育む住まいとなった。

主用途:住宅
内容:リノベーション
分類:設計・施工
施工:澤田大悟+清水満+石川光希
設計:伊藤茉莉子+安齋幸太郎
構造:鉄筋コンクリート造
専有面積:76.96㎡
設計期間:2024年9月~2025年2月
施工期間:2025年2月~2025年5月
写真:貝出翔太郎