2025年12月に掲載した「イケ建具」では、空間を引き締める建具の魅力をご紹介しました。
今回の第二弾では、その視点を「収納」に寄せてご紹介します。収納は、暮らしを整えるための大切な要素ですが、目立ちすぎると空間は落ち着きを失ってしまいます。
KITIでは、建具を仕切るための要素に留めず、収納を静かに包み、空間の輪郭を整える存在として捉えています。今回は、収納と建具の関係が印象的な4つの事例をご紹介します。
2025年12月に掲載した「イケ建具」では、空間を引き締める建具の魅力をご紹介しました。
今回の第二弾では、その視点を「収納」に寄せてご紹介します。収納は、暮らしを整えるための大切な要素ですが、目立ちすぎると空間は落ち着きを失ってしまいます。
KITIでは、建具を仕切るための要素に留めず、収納を静かに包み、空間の輪郭を整える存在として捉えています。今回は、収納と建具の関係が印象的な4つの事例をご紹介します。
押上の家では、テレビボードと収納を一体で造作しました。枠を作り、その中にラワンの建具を納めることで、収納が壁の一部のように見える構成としています。
テレビまわりは、どうしても生活感が出やすい場所です。そこにあえて家具を置くのではなく、空間に組み込むようにすることで、視線のノイズを抑えました。
素材を揃えることで、収納は主張しすぎずに背景として機能し、住まいを静かに支えてくれます。
町田の家では、家族の成長に寄り添う可変性を軸に空間を構成しています。
一般的なマンションのように子ども部屋を固定するのではなく、リビングと同程度の広さを持つ、用途を限定しない部屋を設けました。建具や造作などを使って柔らかく関係づけることで、暮らし方に応じて姿を変えられる構成としています。
また、収納は物を収める以外にも複数の役割を持たせています。例えば、玄関横の寝室は床下収納を兼ね、季節物をまとめて収める大容量のスペースに。グリッド棚の正面にはヌックを設け、下部収納はクッションを置けばソファや簡易ベッドにもなる仕組みです。
可変性を持つ空間と、確かな役割を与えられた造作。町田の家では、時間の経過とともに変わる暮らしを建具と収納が支えています。
町田の家
世田谷の物件では、パナソニック「コンポリア」を壁に埋め込み、収納を空間と一体化させました。
これは既製品でありながら、壁面の中に納めることで存在感を抑え、置く収納ではなく組み込まれた収納として扱っています。
建具の面がそろうことで、壁は一枚の面として整い、主空間に余白が生まれました。
収納を見せない工夫は、必ずしも造作だけの話ではありません。選び方と納め方次第で、既製品もまた空間を整える要素になります。
世田谷の家
杉並の家では、壁や梁下と高さを揃えた建具を計画しました。上端のラインが揃うことで、収納まわりに秩序が生まれます。
さらに、間接照明との関係を考え、光が建具の面をやわらかく照らすように設計。収納は、物を収める用途と共に、光を受け止める面にもなっています。
建具の高さや寸法を整えることは、見た目以上に空間全体の印象を左右します。
杉並の家
収納は必要不可欠な存在ですが、その存在感をどこまで出すかは設計次第です。
建具によって包むことや高さを揃えること、素材を統一すること、壁の中に納めることなど、小さな工夫の積み重ねが、空間を整えます。
イケ建具第二弾では、収納という視点から、建具の役割を改めて見つめ直しました。
収納を整えることは、暮らしの輪郭を整えること。その一助としての建具の在り方を、これからも丁寧に考えていきたいと思います。
写真:貝出 翔太郎(1、2、3、4、5、7枚目)